研究概要 |
1.HSP65の発現機序におけるT細胞の重要性については既に明らかにしているが,更にSCIDマウスを用いて確認実験をおこなった。その結果,SCIDマウスはトキソプラズマ抗原で免疫してもHSP65の発現が見られないが,正常マウスの胎仔胸腺移植によりT細胞系のみを再建したSCIDマウスでは,トキソプラズマ抗原で免疫後,腹腔マクロファージにHSP65の発現が観察されることを明らかにし,報告した(J.Protozool.Res.1995)。 2.HSP65の発現に係わるT細胞サブセットの中で,γδ型T細胞とαβ型T細胞の相互作用について検討し,γδ型T細胞がHSP65の発現に重要であり,更にトキソプラズマ感染防御にも重要であることを,抗T細胞サブセット抗体を用いた実験系により明らかにし,報告した(J.Immunol.,1995)。 3.来年度は,発現したHSP65の感染防御における機能的役割を解析する目的で, (1)正常マウスあるいは免疫マウス由来のγδ型T細胞のトキソプラズマ感染マクロファージあるいは免疫処置によりHSP65を発現しているマクロファージに対する細胞障害活性を測定する。 (2)HSP65のマクロファージにおける局在を免疫電顕法により明らかにし,殺原虫作用に及ぼすHSP65の発現とγδ型T細胞との関連を検討する。 (3)マウスにrecombinant HSP65を投与した後,トキソプラズマの弱毒株原虫を感染させ,腹腔内T細胞の動態,T細胞のトキソプラズマ抗原あるいはHSP65に対する増殖反応とそれらのサイトカイン産生パターン,および生存率を観察し,HSP65のワクチンとしての可能性を探る。 等の実験を計画している。
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