吸血性昆虫を材料にしたPCRは今まで非常に困難であることが知られているので、まづ吸血蚊中のヒトDNAをPCRにより同定する研究を行った。人血吸血蚊を実験的に得るため、今まで報告されている方法より簡単で、誰でもどこでも行なえる膜吸血法を開発した。この結果は、「衛生動物」に投稿し、現在印刷中である。この方法によって得られたヒト吸血蚊を濾紙に押しつぶし、キレックスによりDNAを抽出してPCRの鋳型とした。DNAのヒト特異的領域であるHS5 regionより作成したprimerを用いることにより、吸血蚊よりPCRを行うことに成功した(この成果については投稿準備中である)。又、PCRによりヒトと他の類人猿との鑑別も可能となったが、イヌ、ネコとのクロスリアクションがあらたに出現し、ヒトと他の動物との完全な鑑別は今の所困難な状態であり、human blood indexおよびvectorial capacityの算出には至っていない。しかし、吸血蚊からのPCR法およびPCRによるヒトと類人猿の血液の鑑別は非常に大きな成果であり、今後出来るだけ早く報告する予定である。
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