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1995 年度 実績報告書

マウスT細胞が認識するトキソプラズマの系統特異的およびステージ特異的抗原の検討

研究課題

研究課題/領域番号 07670282
研究種目

一般研究(C)

研究機関長崎大学

研究代表者

山下 慶三  長崎大学, 医学部, 助手 (00239964)

研究分担者 矢野 明彦  長崎大学, 医学部, 教授 (20135122)
キーワードトキソプラズマ / マウス / 予防免疫 / 系統特異的抗原 / ステージ特異的抗原 / T細胞 / 放射線処理
研究概要

トキソプラズマ深谷株による慢性感染は放射線照射処理したトキソプラズマRH株で感作されたマウスでも成立する。それは、免疫によって誘導されるT細胞がトキソプラズマの系統の違いによる抗原性の差異、あるいはtachyzoiteとbradyzoiteとの間の分化ステージの差に基づく抗原性の差異を認識できなかったからではないかと想定し、以下の実験を行った。1)深谷株cyctをヌードマウスに投与して得た深谷株tachyzoiteはBALB/cマウスに対して強毒性を示し、そのLD50は約1,000parasitesであった。2)トキソプラズマの系統差が予防免疫に及ぼす影響を検討する目的でRH株あるいは深谷株のtachyzoiteを放射線照射処理してマウスを感作し、RH株あるいは深谷株のtachyzoiteの致死的感染に対する抵抗性を検討した。tachyzoiteに対する抵抗性は系統差に関わりなく誘導された。3)放射線放射処理した深谷株のtachyzoiteで一回感作したマウス深谷株cystを経口感染させ、脳内のcyst数を測定したところ、未感作のマウスに比べてcyst数が約98%減少した。また放射線照射処理したRH株のtachyzoiteで感作したマウスの結果との間に有意差は認められなかった。4)放射線照射処理した深谷株のbradyzoiteを経口あるいは皮内にて一回感作したマウスに深谷株cystを経口感染させ、脳内cyst数を測定した。未感作のマウスに比べて感作マウスのcyst数は約90%減少した。5)放射線照射処理した深谷株のbradyzoiteを初回に、放射線照射処理した深谷株のtachyzoiteを2回目に感作しても慢性感染の成立そのものは阻止できず、防御効果に相乗効果は認められなかった。これまでのin vivo実験からは我々の仮説を支持するような結果は得られていない。しかし深谷株の脳内cyst数を顕著に減少させる点において放射線照射処理トキソプラズマ原虫が有効な免疫原性を有することは確実である。cystの形成の場を提供する主要な脳内細胞が主要組織適合抗原を発現しない神経細胞であると報告されていることを考慮すると、トキソプラズマによる慢性感染を阻止するためにはcystの経口感染後トキソプラズマが全身に伝播する経路を解析し、全身伝播を完全に抑制する予防免疫を誘導することが重要であると考えられる。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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