研究概要 |
我々は細胞内寄生原中であるトキソプラズマ原虫感染細胞がトキソプラズマ原虫抗原をT細胞に提示することを世界で初めて報告し、またT細胞エピトープのアミノ酸解析に成功した(J.Parasitol.80:260,1994)。さらに、我々はヘルペスウイルス性ブドウ膜炎や自己免疫性ブドウ膜炎(サルコイドーシス、Vogt-小柳-原田病)の発症にγインターフェロンが重要な役割を演じていること、またブドウ膜メラノサイトが抗原提示細胞としてあるいは標的細胞として機能しCD4^+細胞傷害性T細胞を誘導していることを明らかにした(Invest.OphthaL.Vis.Sci.35;33,1994,Current Eye Res.14;425,1995)。そしてトキソプラズマ症患者抹消血中白血球からもトキソプラズマ原虫感染メラノーマによってCD4^+細胞傷害性T細胞が誘導されることを明らかにした(J.Immunol.150:290,1995)。さらに、これらCD4^+細胞傷害性T細胞がγ-IFNやIL-6を抗原特異的に産生することが明らかになった(Jpn.J.Parasitol.44;210,1995)。今後、これらのリンフォカインがトキソプラズマ性網脈絡膜炎発症にどのような役割を演じるかについての解析を進めている。 トキソプラズマ原虫を定量的に同定する競合性PCR法として、トキソプラズマ原虫1parasiteあたり1copyを持つSAG1遺伝子の一部を欠損させたcompetitorを作成し、競合性定量性PCR法の開発に成功した(Jpn.J.Parasitol.44;183,1995)。現在、競合性定量性遺伝子測定法によりトキソプラズマ原虫を同定し、トキソプラズマ原虫の臓器内、組織内、細胞内動向について解析を加え(論文投稿中)、トキソプラズマ性網脈絡膜炎患者および感染実験動物の炎症組織局所に存在する免疫細胞の解析を行い、網脈絡膜炎の発症における役割について明らかにしつつある。
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