1.熱帯熱マラリア原虫MSP1(メロゾイト表面抗原タンパク1)の遺伝子多型を分類するために20本あまりのPCRプライマーを検討した結果、そのうち14本を用い更にnested PCRを活用することで、24通りのMSP1型分類が出来るようになった。 2.MSP1のブロック4と呼ばれる変異領域について、タイおよびソロモン諸島で収集したサンプルに対してPCR解析と塩基配列の決定を行い、ブロック4における対立遺伝子組み換え箇所を推定した(投稿中)。MSP1の多型性は2つの対立遺伝子の遺伝子内組み換えの結果であるが、ブロック4のような変異領域の内部で組み換えが起こっていることが今回初めて明らかになった。 3.フィールドサンプルからのPCRテンプレートDNAのこれまでの調製法では、DNAが不安定で時間とともに急速に劣化するために、一部の型分別はできるが、完全な型分類は得られないことが多かった。血液クロットからのDNA抽出法を改良し、効率良く安定的にPCR出来るようにした。薄層塗沫標本しかない場合には、我々の考案した方法(95年発表)で解析を行った。ベトナムで採集したサンプルについて、MSP1の型分類を行ったところ、一人の患者から最高4つのMSP1対立遺伝子が検出された。MSP1遺伝子型の出現頻度の分布については現在解析中である。
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