研究概要 |
肝蛭カテプシンL前駆体をコードする2つの遺伝子をゲノムレベルで解析した。すでに得られたcDNAのORFの5'-、および3'-端の塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドプライマーとゲノムDNAを鋳型にPCRを行ったところ、1.9kb(B22-2)と1.8kb(B7-3)のカテプシンL遺伝子が得られた。また、クローニングベクターとしてEMBL3を用いて作製した肝蛭ゲノムDNAライブラリーより得た肝蛭カテプシンL前駆体遺伝子クローン(B22-2に相当)の解析もあわせて行った。 まず、PCRによって増幅された2つの遺伝子のコート配列は4つのエキソン(I-IV)と3個のイントロン(1-3)から構成されていた。エキソンのサイズは5'側のIよりそれぞれ378、222、158、220bpであった。エキソンIには肝蛭カテプシンL前駆体のプレ部、プロ部、ならびに成熟酵素のN末端21アミノ酸残基が含まれ、触媒残基を構成するシステインはエキソンIIに、またヒスチジンとアスパラギンはエキソンIVに含まれていた。両遺伝子のアミノ酸レベルにおけるホモロジーは79.8%であった。3箇所あるイントロンの挿入部位は全く同じであったが、第3イントロンの大きさに違いがあることが判った(B22-2:694bp,B7-3:582bp)。 一方、肝蛭ゲノムDNAライブラリーより得た肝蛭カテプシンL遺伝子(B22-2に相当)のエキソン_0に隣接する5'上流の発現制御領域(約1900bp)を解析したところ、5'-RACEによって決定した転写開始点より35bp上流にTATAboxと考えられる配列の存在が認められたが、典型的なCAATやGCboxはこの領域には認められなかった。
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