研究課題/領域番号 |
07670300
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
竹尾 漢治 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (10027097)
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研究分担者 |
田中 玲子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助手 (60143319)
西村 和子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (00114314)
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キーワード | 核相 / 黒色酵母 / Exophiala dermatitidis / Capronia / 有性生殖 / 病原真菌 / 半数体 / 倍数体 |
研究概要 |
多様な細胞形態をとる病原黒色酵母Exophiala dermatitidisはCapronia属と系統発生的に近縁であるため有性世代の発見も期待できる。本歯の細胞生物学的性質をこれまで調べてきたが、本年度は核相に焦点を絞った。初めに核DNAの定量法を再検討し、氷上にて70%アルコールで固定してからpropidium iodide染色する方法を用い良い結果を得た。この染色法では酵母形および酵母形に近い仮性菌糸細胞を得る必要があるが、YMPG(グルコース、イ-ストエキス、モルトエキス、ペプトン各1%)またはYPGで振盪培養し、酵母形またはそれに近い細胞を得た。真菌医学研究センターまたはCBS所有のE・dermatitidis 60株について核DNA量を網べ57株について定量性のある結果を得た。大部分の菌株(54株)では細胞および核の大きさ、さらに核DNA量はほぼ一定であった。 一方、3株はその他の株に比べて細胞および核の大きさが明らかに大きかった。さらに核当たりのDNAは倍量存在した。それ故E・dermatitidisの大部分の株が半数体である可態性は強いが、有性世代が知られていないために断定できなかった。そこで系統発生的に近縁のCapronia pilosella 1株およびC.molavica 3株について調べた。いずれも有性生殖を行なうには異交配型を必要とした。Capronia 4株はともにExophiala普通株と同様の細胞の大きさ、核の大きさおよびDNA量を示した。以上の結果よりE・dermatitidisは基本的に半数体であるが、例外的に倍数体が存在することが明かとなった。これは本菌の有性世代の発見の努力を加速するものである。
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