研究概要 |
これまでにライム病ボレリア表層蛋白質(outer surface protein,Osp)はOspA〜Fの6種が知られる。このうち試験管内継代ボレリアでは、継代によりOspCの発現が低下し、マウスに対する感染性が低下すること、一方感染マウスからの再分離株ではOspCの発現は回復しており、それと共役してOspA、OspBの発現が抑制されることを見いだした。このようなスイッチング機構はライム病ボレリアが、媒介マダニと感染宿主である哺乳動物の間で維持伝播される上で必要である可能性を示唆した。 さらに、神経組織に多く存在するガングリオシドや他の組織にも幅広く存在するスフィンゴ糖脂質のボレリアに対するレセプター活性を調べ、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミドがレセプター活性を示すことを明らかにした。この接着はスフィンゴ糖脂質の糖側鎖だけでなく、セラミドの脂肪酸も関与することを明かとした。さらにはOspCを消失した非病原株ではガラクトシルセラミドとの接着が低下することから、OspCが接着因子として機能する可能性を示した。そこで化学合成したビオチン化ガラクトシルセラミドを用いてボレリア側接着因子の追究を行たところ、OspCでなく未知のボレリア60kDa蛋白質と結合することを見いだした。これまでに本蛋白質に関する報告は全くなく、現在本蛋白質を精製すべく研究を進めているところである。
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