研究概要 |
Candida albicansは日和見病原真菌として医学的に重要な位置を占める二形性真菌である。真菌細胞を覆う細胞壁は細胞形態を規定する骨格構造であると同時に、その成分は種々の生理活性を有し、宿主との免疫応答に重要な役割を果たしている。C.albicans細胞壁の主成分はβ-グルカン、キチンおよびマンナンであり、これらが複雑に組み合わさって強固な構造を作り上げている。細胞壁多糖に関する化学的および血清学的解析は広く行われているが、多糖の局在性についての知見は少ない。我々はC.albicansプロトプラストの再生系を用いて、壁の再生過程を微細形態学的に解析してきた。 本研究ではC.albicansプロトプラストの再生系を用いて、細胞壁主要多糖であるβ-1,3グルカン,キチンおよびマンナンの分布について、免疫細胞化学的手法を用いて、電顕レベルで解析することを目的とした。平成7年度には、プロトプラスト再生初期に形成される繊維構造がβ-1,3グルカンおよびキチンで構成されていることを明らかにした。 平成8年度は、Rabbit Anti-Candida albicans mannanおよび金コロイドを用いた免疫電顕法で、再生プロトプラストのマンナンの局在性を検討した。その結果、プロトプラスト膜から細胞壁が再生される過程においては、まずグルカンおよびキチンの繊維が形成され、同時にマンナンが細胞膜の外側に堆積すること、続くグルカンおよびキチン繊維の網目構造形成に伴い、マンナンが網目の間を埋めて高電子密度の壁構造が作られ、最終的にマンナンが細胞壁最外層を覆って、細胞壁の再生が完了することが明らかになった。
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