研究概要 |
Candida albicansは日和見病原真菌として医学的に重要な位置を占める二形性真菌である。真菌細胞を覆う細胞壁は細胞形態を規定する骨格構造であると同時に、その成分は種々の生理活性を有し、宿主との免疫応答に重要な役割を果たしている。Candida細胞壁はβ-グルカン、キチンおよびマンナンからなる多糖が主成分であり、それが複雑に組み合わさって強固な構造を作り上げている。壁多糖に関する生化学的および血清学的解析は広く行われているが、多糖の局在性についての知見は少ない。我々はC.albicansプロトプラストの再生系を用いて、壁の再生過程を微細形態学的に検討し、さらにβ-1,3グルカン、キチンおよびマンナンの局在性を免疫およびレクチン電顕法で解析した。 細胞壁の再生過程を観察すると、再生初期にプロトプラスト膜の一部から微細繊維が形成され、再生が進むと繊維は伸長、集合し網目構造を形成した。再生後期には網目構造の電子密度が増し、intact cellと同様の構造を示す厚い壁構造が形成された。壁多糖の分布をみると、マンナンはプロトプラスト膜にすでに存在し、また再生初期形成される繊維構造がβ-1,3グルカンおよびキチンから構成されていることが明らかになった。続くグルカンおよびキチン繊維の網目構造形成に伴い、マンナンが網目の間を埋めて高電子密度の壁構造が作られ、最終的にマンナンが細胞壁最外層を覆って、細胞壁の再生が完了することが明らかになった。
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