研究概要 |
1、ノックアウト変異株の作製 promoter trap(pt-)retrovirus(Moloney Murine Leukaemia Virus(MMLV)由来)はプロモータを欠きウイルス構成蛋白質遺伝子をハイグロマイシン(HGR)耐性遺伝子に置き換えてある。従って、宿主遺伝子のプロモータ下流に挿入された時のみHGR耐性遺伝子を発現し、同時に下流に存在する本来の宿主遺伝子をノックアウトする。MMLVのレセプターを導入したCHO細胞(CHO22)にpt-retrovirusを感染後、HGRで選択し、〜2x10^5の独立したクローンによりなるノックアウト変異株ライブラリーを作製した。 2、ウイルス抵抗性変異株の選択とcharacterization 上記の変異株ライブラリーにインフルエンザウイルスPR8株(Flu)を感染させた後、HA蛋白に対する単クローン抗体と補体の処理によりFlu感受性細胞を排除し、2種類(FLR1,FLR2)の抵抗性変異株を得た。FLR1はFlu感染後の細胞膜HAの発現量が親株よりも1/100に減少していた。FLR2はFlu感染後、親株と同等の細胞膜HA発現量を示すが、親株と異なり細胞が死滅することはなかった。一方、上記ライブラリーから得られた緑膿菌外毒素A抵抗性変異株は1種類(PER1)であった。PER1はジフテリア毒素に対しても耐性であり、VSV、Sindbis virus感染に対しては部分抵抗性であった。この表現形は従来報告されているエンドソーム酸性化に関わる変異株と同一であり、各種レクチンにおける感受性のプロフィールも極めてよく似ていた。 現在、より多くの変異株を得るため、再度、同一の方法で欠損変異株を作製し、ウイルス抵抗性変異株を得る試みを行っている。
|