研究概要 |
本年度は、マウスインフルエンザウイルス肺炎モデルおよびラットヘルペスウイルス(HSV-1)肺炎モデルにおける一酸化窒素(NO)合成系の誘導とその病態生理学的役割について解析した。 その結果、両ウイルス感染モデルにおいて、誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible NO synthase,iNOS)の強い誘導が、RT-PCR,Northern blot法により、そのmRNAの発現を検出することにより確認され、それぞれの感染局所(マウス肺、およびラット脳)での過剰なNO生成を電子スピン共鳴法により直接証明することができた。 さらに、今回は、マウスインフルエンザウイルス肺炎モデルにおけるNOの病態生理活性を、NOとスーパーオキサイドラジカル(O_2^-)との相互作用に焦点をあて解析をすすめたところ、本ウイルス感染モデルにおいてNOとO_2^-の反応産物であるパーオキシナイトライト(ONOO^-)が生成し、これが重要な病原性発現因子であることが明らかとなった。この知見は、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.vol.93(1996)(in press)に掲載予定である。
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