研究課題/領域番号 |
07670348
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
福永 利彦 琉球大学, 医学部, 教授 (10029796)
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研究分担者 |
新垣 栄 琉球大学, 医学部, 助手 (80264480)
牧野 芳大 琉球大学, 医学部, 助教授 (60039930)
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キーワード | 日本脳炎ウイルス / 分子疫学 / 沖縄株 / C-preM領域 |
研究概要 |
1968年から1992年に沖縄で分離された日本脳炎ウイルス18株、および他地域との比較を行うため、長崎株1株、大阪株5株、北海道株2株、タイ株1株、ラオス株2株、合計29株の塩基配列をChenらのC-preM領域240塩基(1990)に準じ、ダイレクトシークェンス法で決定した。 JaOArS982株を基準としてこれらを比較検討した。 その結果、沖縄株は240塩基中1株当り10-15塩基の置換が見られた。それらの多くはサイレントなトランジシオンであった。本土で分離された株と比較すると、1985年から1992年に沖縄で分離された株には沖縄株に固有の塩基置換が見られた。推定されるアミノ酸レベルでは1株80残基中2-3残基の置換が推定され、これら置換は蛋白質の疎水性、親水性には影響を与えないと考えられた。 沖縄株と他地域株との関係を知るために、既に塩基配列が発表されている他の株も加えて近隣結合法で系統樹を構築した。その結果、沖縄株は全体として高い相同性を示すが、年代により二群に分かれた。年代的に新しい沖縄株の群は古い群と比べ遺伝的変位が大きかった。 沖縄株全体と他地域の株を比較すると、本土株とは94%以上、タイラオス株とは83.2%の相同性を示した。年代別の各群で比較を行うと、分離年の近い株が分離地域が異なっていても遺伝的に近い傾向を示した。 以上のことから、1)現在沖縄では複数のタイプの遺伝子をもつ株が伝播している。2)本土株との比較から、気候差はこの領域の塩基置換の傾向にあまり影響を与えないと考えられた。3)タイ、ラオスの分離株は沖縄株も含めた日本株とは16%以上の変異が見られ、Genotypeが異なるものと考えられた。
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