研究概要 |
1.HHV-6DNA複製開始機構の生化学的解析 (1)変異を導入したオリゴDNAを用いた競合的ゲルシフト法により、HHV-6のコードするorigin結合蛋白が認識するコンセンスな塩基配列がYGWYCWCCY(Y=C/T,W=A/T)であることを明らかにした。HHV-6とHSV-1の各origin結合蛋白は自らのorigin配列のみと結合した。HSV-1のコードするorigin結合蛋白が認識する配列はYGYTCGCACTであることが報告されているので、コンセンサス配列の6番目と8番目の2残基における差がウイルス特異的なoriginの認識に重要であると考察された。 (2)片鎖のみに変異を導入したヘテロオリゴDNAを用いた競合的ゲルシフト法により、origin結合蛋白はDNAヘリックスの片面からorigin配列を認識することを明らかにした。 (3)ゲルシフト法とサウスウエスタン法を用いて、HHV-6のorigin結合蛋白の482-770アミノ酸残基の領域がDNA結合ドメインであること、そのうち657-770残基領域がDNAと直接結合するために必須であり、残りの領域は蛋白の立体構造保持に必要と考えられることを見い出した。 2.「パッケージング細胞」としてのorigin結合蛋白発現細胞株の作成 origin結合蛋白遺伝子を組み込んだ発現プラスミドを構築し、エレクトロポーレーション法によりヒトT細胞に遺伝子導入した。作製した抗体を用いて蛍光抗体法により細胞内での一過性発現を確認した。現在、安定にorigin結合蛋白を発現し続ける細胞株を選択中である。
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