研究概要 |
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子には,抗原提示に主役を演じるクラスIa分子の他に,クラスIb分子と総称される多様な分子群が存在する(Transplant Immunol.3:1,1995;Res.Immunol.147:278,1996).IgGを胎盤・腸管において輸送するFcRn分子,糖脂質を抗原提示するCD1分子,機能不明のZn-α2 糖タンパク質分子,ヘマクロマトーシスの病因分子と想定されるHLA-H分子などが代表的なクラスIb分子である.本研究では,前三者のクラスIb分子を対象として,以下の成果を得た. 1)マウスおよびヒトのFcRn分子をコードする遺伝子をクローニングし,その構造・染色体局在を決定した(J.Immunol.154:5907,1995;Cytogenet.Cell Genet.73:97,1996). 2)ヒトCD1遺伝子の存在する領域とMHC領域が染色体重複によって形成されたことを明らかにした(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9096,1996;Trends in Genetics 13:in press,1997). 3)マウスのZn-α2 糖タンパク質分子がMHC領域外でコードされていることを示した(Immunogenetics 42:72,1995). 4)ヒトのCD1b分子を胸腺から精製し,CD1b分子に結合する内在性ペプチドの有無を検索した.その結果,CD1b分子にはペプチドは結合していない可能性が高いことが判明した.
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