1.MHCクラスI結合ペプチド刺激による特異的CTLの誘導とCD4T細胞の必要性 L^d結合ペプチドである2-オキソグルタール酸・デヒドロゲナーゼ由来のp2Caペプチド(LSPFPFDL)は、脾細胞培養に添加するだけで、CTLを誘導することが明らかになった。一方、われわれが見出したマウス白血球拒絶抗原ペプチドpRL1 (IPGLPLSL)を用いた場合は、脾細胞の培養に添加しただけではCTLは誘導されず、感作脾細胞が必要であった。このように、ペプチドのCTL誘導能は、それぞれ異なることが明らかになった。さらに、この際、脾細胞からCD4^+ T細胞を除去するとCTLは誘導されない。即ち、MHCクラスI(L^d)分子結合ペプチドであるにも拘わらず、CTLの誘導には、CD4 T細胞が必要であることを示している。また、CTL誘導には抗原提示細胞(APC)が必須であった。 2.多価H-2クラスI結合ペプチドの刺激によるCTLの誘導 pRL1ペプチドを用いて、正常CB6F_1あるいはBALB/cマウスをin vivoで刺激し、さらに脾細胞をin vitroで刺激してもCTLは誘導されない。一方、8価の結合部位を有する7個のリジンより成るMAP (multiple antigen peptide)にpRL1を結合し、これを用いてBALB/cマウスをin vivoで免疫し、脾細胞をin vitroで刺激すると特異的なCTLが誘導された。このような、多価抗原ペプチドによるCTL誘導能が、T細胞抗原受容体およびクラスI(L^d)分子に対するどのような効果に基ずくのかさらに解析が必要である。
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