免疫グロブリンH鎖(IgH)遺伝子の可変領域に高頻度に観察される体細胞突然変異の発現にはIgHのプロモーターとイントロエンハンサー(Eμ)および3エンハンサー(3E)が重要であることが明らかなってきた。特にEμは体細胞突然変異の発現に必須である。このことは遺伝子の転写が体細胞突然変異の発現に密接に関連することを示唆し、脾臓あるいはリンパ節等の体細胞突然変異が発現する組織におけるB細胞のもつEμ活性を調べることは重要であると考えられる。本研究ではEμで発現が制御されるレポーター遺伝子としてクロラムフェニコールアセチルトランスフェラ-を導入したトランスジェニックマウスの脾臓およびパイエル板よりB細胞を細胞表面マーカーを指標にFACSで分画した。B220+CD43+の脾臓B細胞は形質細胞あるいはその前段階であると考えられているが、この細胞では高いCAT活性が認められた。また脾臓およびパイエル板でのPNAni B220+の細胞は、胚中心に存在するB細胞の特色であるが、この細胞群でも高いCAT活性を認めたいことから、体細胞突然変異が活性に発現している胚中心B細胞ではイントロエンハンサーの活性が高い事が推定出来た。
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