研究概要 |
筆者は、これまでに知られていなかった新しいヒトMHC関連遺伝子(MR1)を発見し、報告した(Science 269,693-695(1995))。cDNAから推測されるアミノ酸配列は signal peptide, 3個のextracellular domains,そしてtransmembrane,cytoplasmic domainsを有する完璧なクラス I 分子を示している。そのアミノ酸配列は、2個のpeptide-binding domainsにおいて、HLA クラス I 分子と高い類似性を示しており、ヒトにおける既知のクラス I 分子の中では最高の類似性を有する。この新しく発見したMR1遺伝子について、その発現、多型性、機能等、更に詳細な解析を進めており、成果が得られている。 1.MR1遺伝子の多型性の検討。MR1遺伝子の多型性を検討する為、ヒト細胞からDNAを調製し、PCRによりMR1遺伝子の一部分を増幅し、クローニングした後、DNA塩基配列を決定した。その結果、古典的なクラス I 分子の様な多型性は示さないこと明らかとなった。 2.マウスMR1homologの解析。PCRによるマウスDNAより得たMR1homolog断片をプローブとして用い、マウスcDNAライブラリーをスクリーニングし、マウスMR1homologを単離し、その塩基配列を決定して、ヒトMR1遺伝子の配列と比較検討した。非常に類似性の高いMR1homologがマウスで発現していることが明らかとなった。
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