研究概要 |
1)IL-4レセプターのコンポーネントの一つであるIL-2γ鎖に遺伝子異常が存在する伴性重症免疫不全症患者由来のB細胞におけるIL-4の細胞内情報伝達機構を解析したところ、正常B細胞でIL-4により活性化されるチロシンキナーゼであるJak3、転写因子であるSTAT6が活性化されないことを見出し、IL-4の細胞内情報伝達経路においてIL-2γ鎖/Jak3/STAT6というカスケードが形成されていることを証明した。またIL-4に類似した生物活性を持っているIL-13の場合、伴性重症免疫不全症患者由来のB細胞においてもSTAT6が活性化されることよりIL-13レセプターは、IL-2γ鎖を使用していないことが判明した(J.Biol.Chem.,vol 271,619-622,1996)。 2)抗IL-2γ鎖抗体でIL-2γ鎖経由の情報伝達経路を阻害したところ、T細胞におけるIL-4による増殖作用、B細胞株におけるIL-4によるlgE産生誘導作用に影響はなかった。またSTAT6の活性化も正常と変わらなかった。これらの結果よりIL-4レセプターα鎖とIL-2γ鎖のヘテロニ量体より成るIL-4レセプター以外に、IL-4レセプターα鎖のホモニ量体より成るIL-4レセプターもIL-4のシグナルを伝達できることを見出した(投稿準備中)。
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