研究課題/領域番号 |
07670387
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
片桐 拓也 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 室長 (70126100)
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研究分担者 |
大海 忍 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20160046)
柿沼 志津子 社団法人北里研究所, 基礎研究所, ポスドク研究員
松井 英則 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 室長補佐 (30219373)
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キーワード | チロシンキナーゼ / 免疫系細胞 / 分化 / アポトーシス / Fyn / MRL / lprマウス / レチノイン酸 / HL-60 |
研究概要 |
チロシンキナーゼFynを欠失したMRL/lprマウスにおいては、免疫複合体性腎炎と全身性リンパ節腫脹の発症が抑制されて延命することを見いだしたが、平成7年度は、そのメカニズムに関する知見を得た。まず、免疫複合体性腎炎の軽減は、この変異マウスにおいてIgG3型抗DNA自己抗体の産生が抑制されたためであることを示唆する知見を得た。この知見は、最近のPerlmutterグループ(USA)のFyn欠失正常マウスにおいて抗原刺激後のIgG3型T細胞依存性特異抗体の産生が低下しているという知見と合致し、また、MRL/lprマウスの抗DNA抗体が抗原によって惹起されたとの説を支持する。また、この変異マウスの末梢Tリンパ球の抗原レセプターを介した増殖応答能が15%程度にまで低下しており、一方、抗原刺激後のアポトーシスの程度に異常が認められないことが判明した。このことから、Fynが全身性リンパ節腫脹を形成するための増殖シグナルの付与すなわち、正常マウスにおいては末梢における自己反応性T細胞のアポトーシス誘導のための活性化シグナルの形成に機能していることが示唆された。 本年度、前骨髄球性白血病細胞HL-60にレチノイン酸を添加してアポトーシスを誘導する際、チロシンキナーゼLynまたはFgrに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを共存させると、アポトーシスの誘導が顕著になることを見いだし、これらチロシンキナーゼの抗アポトーシス分子としての機能を明らかにした。また、別のチロシンキナーゼBtkに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、レチノイン酸非存在下においてもアポトーシスを誘導することも見いだし、Btkの抗アポトーシス機能を明らかにした。
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