研究課題/領域番号 |
07670399
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
日下 幸則 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)
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研究分担者 |
森田 明美 福井医科大学, 医学部, 助手 (40262638)
佐藤 一博 福井医科大学, 医学部, 助手 (40262620)
中久木 和也 福井医科大学, 医学部, 教授 (90024629)
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キーワード | コバルト / ニッケル / 金属 / 感作 / 呼吸器 / 免疫 / 毒性 / アレルギー |
研究概要 |
三年計画の初年度である本年度は、ラットを用いて、コバルト、ニッケルの呼吸器毒性を調べた。7週齢の雄性ウィスター系ラットを用いた。コバルトとしては、金属コバルト(平均粒径4μmの従来型の金属粒子、平均粒径20nmの超微細金属粒子)、塩化コバルトを、ニッケルとしては金属ニッケル(平均粒径4μmの従来型の金属粒子、平均粒径20nmの超微細金属粒子)、硫酸ニッケルを用いた。対照として、超微細な二酸化チタニウム粒子、陽性対照として遊離珪酸を用いた。 無処置のラットから得た肺胞マクロファージ(AMφ)と上記の金属粒子、金属塩、対照粒子と培養し、その上清中に遊離される乳酸脱水素酵素活性(LDH)を調べた。遊離珪酸と培養したAMφから、最も高いLDH値が観察されたが、金属コバルト、次いで金属ニッケルもAMφからのLDHを有意に高く遊離させた。 さらに、ラットに上記粒子を気管内注入し、肺胞中に遊走する白血球、蛋白質濃度、LDH活性値を肺胞洗浄によって経時的にモニターした。遊離珪酸が最も長く、かつ最も激しく肺胞の炎症を招来したが、それに次いで超微細ニッケルが、そして超微細コバルトが強い炎症を起こした。従来型のニッケル、コバルトは、それほどでもなかった。これらと平均粒径が同じ超微細二酸化チタニウムは、わずかな炎症しかもたらさなかった事から、ニッケル、コバルトという金属自体の特性に加えて、粒径の小ささ(表面積の大きさ)が、肺毒性の発現に関わっていることが示唆された。 なお、肺胞中に遊離されるサイトカインの内、腫瘍壊死因子(TNF)が超微細二酸化チタニウムに曝露したラットで高値になることを確認したが、その他の金属に関しては実験を続行中である。
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