研究概要 |
1.既存資料の収集・整理:数学モデル基礎資料として,世界保健機関(WHO)発表の諸外国,米国防疫センター(CDC)発表の北南米,わが国厚生省発表の国内の感染症発生の統計,及びわが国外務省発表の出入国者の統計の収集整理を行った。この作業の過程で,インターネットの利用が最新情報の収集に有効であることを確認した。 2.外来感染症疫学調査:厚生省の協力の下,全国463の伝染病隔離病棟の管理部門を対象とする質問票調査を実施した。調査項目は,隔離伝染病患者に関する項目と隔離病棟の機能に関する項目とからなっていた。前者は,過去2年間(1993及び1994年)の隔離伝染病患者の性,年齢,診断名,推定感染地,推定感染源等であり,後者は,隔離病棟の病床数,配置職員数,伝染病予防教育実施状況,過去の患者の運送時間等である。調査の回収率は約55%であった。隔離伝染病患者の項目解析の結果,(1)2年間で男640人,女455人が隔離病棟に入院しており,(2)診断名は,男では赤痢,コレラ,腸チフス,女では赤痢,腸チフス,コレラの順であり,(3)推定感染地は,男女とも国内,インドネシア,インドの順であり,(4)推定感染源は,男では食物,水,魚介類,女では食物,食物または水,水の順であった。また,隔離病棟の機能の項目解析の結果,(1)病床数は15〜34床が多く,(2)職員数は医師1人,看護婦1〜2人の施設が多く,(3)定期的な予防教育は約1/4の施設でしか実施されておらず,(4)患者の運送は自施設の救急車または自治体の公用車を使用し1時間程度を要していた。 3.数学モデルの流れ図作成:過去に作成したインフルエンザ及びAIDSの数学モデルを基に,最近内外で発表された感染症のモデル(AIDSが多い)のアルゴリズムを加え,外来感染症の国内流行リスク及びその被害の程度を表現する流れ図を作成した。
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