研究概要 |
昨年度単離した病原真菌Candida albicans,出芽酵母Saccharomyces cerevisiae並びに分裂酵母Schizosaccharomyces pombeのグアニル酸転移酵素遺伝子(それぞれCGT1,CEG1,PCE1と名付ける)を種々の系を用いて発現し、3次元構造解析のための結晶化を試みた。まずはじめにglutathione-S-transferaseとの融合蛋白質として大腸菌を用いて大量発現し、glutathioneカラム及びトロンビンを用いて精製した標品についてlight scattering分析を行ったところ、Cgt1p及びCeg1pいずれも凝集し、結晶化に適さないことが判明した。そこで融合蛋白質としてではなく単独で発現させるためにT7プロモーターの下流にCGT1,CEG1またはPCE1を挿入し大腸菌内での発現を検討した。その結果、Cgt1pの発現は認められなかったが、Ceg1p及びPce1pの発現は認められ、特にPce1pは大量に発現されていた。Ceg1pについてはその発現量を増加させるためにN末端の4アミノ酸を欠損させたCEG1(-4N)をT7プロモーターの下流に挿入し大腸菌内で発現させたところ、Ceg1pよりもその発現量が増加していた。CGT1についてもN末端あるいはC末端の5アミノ酸を欠損させたCGT1(-5N)あるいはCGTI(-5C)をT7プロモーターの下流に挿入し大腸菌内での発現を試みたがCgt1p(-5N)p,Cgt1(-5C)pいずれも発現しなかった。CGT1,CGT1(-5N),CGT1(-5C)についてはPichia酵母を用いた蛋白質発現系も試みたが蛋白質の発現は認められなかった。現在、大腸菌よりCeg1(-4N)p及びPce1pをイオン交換カラムクロマトグラフィー及びゲル濾過により単離、精製を行っており、精製標品についてlight scattering分析を行う予定である。
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