研究概要 |
病原真菌Candida albicansよりmRNA5'キャッピング酵素遺伝子を単離し、大腸菌内で発現・精製し、単離した遺伝子はmRNA5'グアニル酸転移酵素活性をコードすることを示した。精製標品を用いて酵素阻害剤のスクリーニングを行い、2種類の候補となる化合物を選択した。またヒトcDNAライブラリーよりmRNA5'キャッピング酵素遺伝子を単離した結果,C.albicansと異なり,単ペプチドmRNA5'グアニル酸転移酵素とmRNA5'トリフォスファターゼ活性を有していることを明らかにした。従って、mRNA5'キャッピング酵素は真菌とヒトで同一の機能を有するが、そのタンパク構造は大きく異なることが予想され、抗真菌剤の標的として有効であることが強く示唆された。さらに、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeのmRNA5'グアニル酸転移酵素を非融合タンパク質として大腸菌内で発現・精製した標本は高濃度で濃縮することが可能であり、板状の結晶を得ることができた。現在この結晶を用いてX線解析を行っている。また、真菌の細胞壁を構成するβ-グルカン合成に関与するCaKRE6,CaSKN1,CaGSC1,CaGSL1,CaGSL2の5つの遺伝子を単離し、遺伝子破壊株の実験からCaKRE6は真菌の生育に必須なβ-1,6-グルカン合成に関与する遺伝子であることを示した。さらにヒスチジンキナーゼをコードする遺伝子であるCaSLN1及びCaNIK1を単離し、遺伝子産物はいずれも病原性に関与することを明らかにした。
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