研究概要 |
実験的にアレルギーを惹起することによりアレルギー学的検索を行なった。フォルムアルデヒド曝露マウスに誘発したIgE産生応答が、血清中OVA-DNB特異的IgE抗体量をELISA法にて測定することにより、フォルムアルデヒド50, 100, 500ppbの濃度範囲で濃度依存的に亢進されることがわかった。一方、遅延型アレルギーであるオキサゾロン感作マウスの耳介の再チャレンジによる腫脹のピークが、フォルムアルデヒド500ppb曝露によって早期に移行し腫脹の消退も速やかにとなる結果を得た。さらにHE染色による組織学的観察により、曝露群の耳介は対照群に比べて細胞浸潤が少ないが非常に浮腫的であり、フォルムアルデヒド曝露が遅延型アレルギーの発現に大きな変化を与えていることがわかった。遅延型アレルギーに関する結果は非常に興味あるものであり、最近問題となっている小児などのアトピー性皮膚炎患者が増加していることの一つの原因とも考えられよう。一方、即時的アレルギーの評価として特異的抗原の全身性投与によるIgE抗体産生を観察したが、フォルムアルデヒド曝露により抗体産生は亢進される結果が得られた。現在、社会問題となっている鼻アレルギーや喘息は呼吸器係で起こる局所的なアレルギー応答であるので、今後、より現実に近い形での実験的即時的アレルギー応答の方法を検討し、実施したいと考えている。
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