研究概要 |
1.予備的研究結果の分析;群馬県北東部の1農村にて行われた質問紙による全数調査の結果について構造的な分析を行った.対象は住民台帳により同定された40才から69才までの地域住民約4,500名である.調査票における基本的疫学情報,身体・健康に関する情報,生活週間や社会的支援などに関する心理社会的情報,および自覚的健康状態に指標である東大式健康調査票(THI)質問項目に対する回答について,それらの関連性を検討した.例えば,喫煙や飲酒の有無が全般的な身体的愁訴や呼吸器,消化器症状と強く関連しており,規則的な運動習慣を持つ者が持たない者に比べて,各種身体的愁訴および精神的愁訴の全てにわたって低い得点を示すことなどがわかった.また,専業農家が減少していることもあり,職種による自覚的健康指標の差ははっきりしなかった. 2.その他の健康指標データの採取;調査対象地区で行われた住民検診(老人保健法)時の各種健康指標(血圧.血液生化学検査等)のデータを自治体の許可のもとに採取し,台帳のID番号に基ずいて,上記ライフスタイル・健康指標情報とのリンケージを行った.質問紙情報と検診情報の揃った有効回答者は男739名,女1,213人であった. 3.要因の個別の解析;各種健康指標に影響を与えるライフスタイル要因は何であるかを,多変量解析を用いて明らかにし,この結果に基ずき関連モデルを作成し,保健管理上の資料として役立てることが本研究の最終目標である.手始めとして上記検診時の血液化学的変数と質問紙調査時のライフスタイル変数との間にどのような関連が認められるかを,重回帰分析を用いて解析した.例えば,肝機能の生化学的指標については飲酒習慣との間に一定の関連を認めたが,他の要因との間には著明な関連を認めなかった.現在,その他の健康指標について個別に解析中である.
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