本研究班初年度は主として日本学術振興会(JSPS)事業の東京大学医学部および神戸大学医学部のアセアン5か国(マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイ、フイリピン)を対象とした医学国際交流実績データの収集作業を行なった。すでに医学国際交流開始後15年が経過したので、対象国からも交流評価についての問題提起がなされている。評価について日本国の意見も総合して以下の諸点に要約できる。 1.拠点大学方式の検討 2.大型共同研究の実績 3.論文博士制度 4.交流対象国の見直しと拡大 5.フオロ-アップの実施方法 6.対象国別評価尺度の作成と検討 7.セミナーの開催 上記7項目の問題点および検討課題としてつぎのようにまとめた。 1.研究者交流におけるテーマの設定と人選について事前の十分な情報交換が必要であり、とくに研究課題については3〜5年間の継続プロジェクトとしなければ研究成果は期待できない。 2.各対象国の国民保健と医療の現状に沿った研究実施が必要である。 3.学位取得後の一定年数経過後の研修プログラムの実施 4.ラオス、ベトナム、カンボジア、ベトナム、中国、韓国等の諸国との研究交流を推進する。 5.論文博士号取得者のみでなく、来日研究者に対する事後の研究支援と共同研究実施を進める。 6.発展途上諸国の保健事業、研究動静は各国によって異なる。社会医学の視点から分子生物学の領域まで研究課題も多岐にわたる。国別および研究教育機関別の細分化された研究実施法と評価法を作成する必要がある。 7.セミナーの成果は一部研究者のみでなく、広範囲にその内容を広報すべきである。
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