知的障害者と健常者との動作別エネルギー消費量の差異を検討するために、茨城県結城市および内原町に所在の知的障害者施設に入所および通所している知的障害者、男子22名と年齢±3歳および身長±4cmでマッチングさせた健常者、男子22名を対象に下記の測定を行った。 早朝覚醒時の基礎代謝時、30分安静後の臥位、座位、立位時および分速30、50、70、80mで歩行時の呼気ガスをダグラスバッグにより採取し、酸素濃度と二酸化炭素濃度から酸素消費量を算出した。各測定時には、テレメータにより心電図と心拍数のモニタリングを行った。すべての測定には医師が常駐した。 測定結果は以下の通りであった。 (1)知的障害者は健常者に比べて、座位、立位時および同じ速度で歩行する際、より多くの酸素を必要とした。特に、分速30mと50mでは顕著であった。70m、80mでは、脱落者が知的障害者に認められた。 (2)基礎代謝、臥位、座位、立位、分速30、50、70、80mの歩行時には、知的障害者の方が健常者に比べて心拍数が高い傾向が認められた。 (3)知的障害者は健常者に比べてLean Body Massおよび最大酸素摂取量が低い傾向が認められた。 本研究を実施する前に、各施設の施設長および対象者本人(または保護者)の承諾を得た。また、東京医科歯科大学難治疾患研究所の倫理委員会の承認を得た。
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