研究課題/領域番号 |
07670431
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学部, 助教授 (30231476)
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研究分担者 |
吉田 雅美 金沢大学, 医学部, 助手 (90251925)
長瀬 博文 金沢大学, 医学部, 助手 (00251918)
岡澤 孝雄 金沢大学, 留学生センター, 教授 (70145192)
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キーワード | 物理的環境刺激 / 神経免疫系 / natural killer cell / 騒音 / マイクロ波 / CRH / 妊娠 / 体温 |
研究概要 |
処女ラット24匹、妊娠(9-11日)ラット24匹の計48匹を各群6匹から成る騒音暴露群とその対照群、マイクロ波暴露群とその対照群に分け、騒音暴露群には103 dBの騒音を、マイクロ波暴露群にはアクリル製の筒状のホルダーに入れ、周波数2,450MHz、照射強度10mW/cm^2のマイクロ波を90分間全身暴露し、躯幹血から、corticosterone(CS),β-endorphin(βEP)と脾臓natural killer cell activity(NKCA)、脳内前頭葉皮質、側坐核、扁桃体、視床下部の各部のcorticotropin-releasing hormone(CRH)の測定を行った。その結果、処女ラットの騒音暴露群のNKCAは有意な低下が観察されたが、妊娠ラットではその低下は認められなかった。したがって、騒音ストレスは細胞性免疫を低下させるのに対して、妊娠はそのストレスによる細胞性免疫の低下に抵抗することがわかった。妊娠ラットの結腸温の上昇度である3.10±0.57℃(平均±標準誤差)は処女ラットでの5.70±0.67℃に比べ有意な減少と認められた。処女ラットでは認められなかったが、妊娠ラットのマイクロ波暴露群のNKCAは非暴露群に比べ有意に減少した。妊娠ラットの非暴露群のNKCAは、処女ラットのそれに比し、有意な減少は認められなかった。暴露群の血中CSの有意な増加は、処女ラット、妊娠ラットともに認められたが、βEPの有意な増加は、妊娠ラットにおいてのみであった。以上より、非妊娠期のマイクロ波暴露時には視床下部CRH-下垂体-副腎皮質系の活性化が生じるが、この活性化に加え、妊娠期のマイクロ波暴露時にはさらにProgesteroneの上昇に代表される胎盤-副腎系が活性化され、下垂体βEPの作用と協調して、NKCAの低下に示される細胞性免疫の低下がもたらされ、一方では、体温上昇が抑制されるという機序が推測された。これらの結果はいずれも妊娠維持に有利に働くことから、妊娠期では温熱ストレスに対して神経-免疫系を介する恒温機序が働いていると考えられた。
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