(1)日本乗員組合連絡会議の全面的な協力を得て、半導体式電子ポケット線量計を使って、成田-ニューヨーク路線、成田-ワシントン路線、成田-シカゴ路線、成田-ロサンゼルス路線(以上、北米路線)、成田-ロンドン路線、成田-パリ路線、成田-アムステルダム路線、成田-フランクフルト路線(以上、欧州路線)、成田-シドニー路線、成田-ジャカルタ路線を中心に、平均往復宇宙線被曝線量を測定した。 この結果をもとに、年間800〜900時間飛行したときの宇宙線被曝線量を算出すると、北米路線では成田-ニューヨーク路線が最大で2.9〜3.2mSv、成田-ロサンゼルス路線が最小で2.2〜2.5mSvとなる。欧州路線では成田-ロンドン路線が最大で2.7〜3.1mSv、成田-フランクフルト路線が最小で2.6〜2.9mSvであることが明らかになった。 平均被曝線量で見る限り、わが国航空機乗務員が、わが国で最大最高の職業被曝者集団である原子力発電所の労働者を2〜3倍も上回る被曝をしていることが判明した。 (2)中性子サーベイメータを使って、成田-ニューヨーク路線、成田-シカゴ路線、成田-ロンドン路線、成田-パリ路線などについて、宇宙線中性子線量の測定を行った。その指示値は予想される中性子線量より少し低めの値であったが、その相違は中性子サーベイメータのエネルギー特性から矛盾なく説明できた。
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