研究概要 |
昨年の本学会でFV波形解析結果(RAT-FEV1% diagramのline別指導区分)と血清総IgE値との関係について報告した。今年は、RAT-FEV1% diagramのBiological lines(A-,SA-、B-,SB-、R-line)と、血清総IgE値、喫煙習慣との関係に付いて検討した。「対象」:肺機能検査と血清総IgE値測定を行い、FV波形解析有効であった35才-59才の男子従業員1177名(非喫煙者442名、喫煙者735名)を解析対象とした。「解析方法」RAT-FEV1% diagramの説明は第66回本学会抄録集に記載している。喫煙習慣の有無別に本diagramのbiological lines(A-,SA-、B-,SB-、R-line)と、血清総IgE値(以下IgEと略)との関係を検討した。「結果」(1)非喫煙者のRAT-FEV1% diagramのbiological linesと、IgEとの関係:各biological lineにおけるIgE値の分布をみると、A-,SA-lineでは、IgE〈100の割合は63.3%,58.8%であった。他方、B-,SB-lineでは、IgE〈100の割合はそれぞれ34.2%,34.5%と低率であった。IgE≧100以上の割合はA-,SA-lineで、それぞれ36.7%、41.2%、に対してB-,SB-lineでは65.8%、65.5%であった(x^2=28.21)。(2)喫煙者のRAT-FEV1% diagramのbio-logical linesと、血清総IgE値との関係:各bio-logical lineにおけるIgE値の分布をみると、A-,SA-lineでは、IgE〈100の割合は48.5%,61.5%であった。B-,SB-lineでは、IgE〈100の割合はそれぞれ28.3%,25.7%と低率であった。逆に、IgE≧100の割合はA-,SA-lineで、それぞれ51.5%、38.5%、に対してB-,SB-lineでは71.7%、74.3%であった(x^2=45.44)。「考察並びに結論」:biological lineと血清総IgE値との関係をみると、中高年非喫煙者・喫煙者共にA-,SA-lineではIgE〈100の比率が高いのに対して、B-,SB-lineではIgE≧100の比率が高い。従来、気道アレルギーにおける血清総IgE値の異常高値の限界値は300IU/mlであるが、スクリーニングにおける血清総IgE値の限界値を100IU/mlに設定すると、本diagramのbio-logical lineとよく相関する。したがって、血清総IgE値の限界値を100IU/mlに設定すると、RAT-FEV1% diagramを主体とするFV波形解析は気道アレルギーを主体とする一次スクリーニング評価法として意義がある。
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