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1996 年度 実績報告書

分子構造・機能性からみたリグナン化合物のアテローム性動脈硬化予防の検討

研究課題

研究課題/領域番号 07670467
研究機関近畿大学

研究代表者

小川 博  近畿大学, 医学部, 講師 (00133546)

キーワードアテローム性動脈硬化 / 高脂血症 / リゲナン / SHRSP / リポ蛋白 / アポ蛋白 / HMG-CoA reductase
研究概要

リグナン化合物ならびにそれらを含有する食品の脂質代謝改善作用について検討した。リグナン化合物としてゴマに含まれるセサミン化合物(セサミンとそのジアステレオマ-であるエピセサミンの混合物)を、リグナン化合物含有食品として杜仲を使用した。同時に、現在脂肪代謝改善剤として欧米で使用されているgemfibrozilについて検討を行いその作用を比較した。実験動物は高脂肪・高コレステロール食(HFC食)飼育により食餌性高脂血症(高コレステロール血症)を誘導した脳卒中昜発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いた。
その結果、1)セサミン混合物をHFC食に0.5%添加して投与すると、明確な血清コレステロール上昇抑制作用を発現した。この作用は、コレステロールに富むatherogenic β-VLDL上昇抑制に基づいていた。同時にapoA-Iを含むHDL亜分画の減少抑制も観察された。肝臓ではコレステロール蓄積が抑制された。次にこのセサミン混合物をHPLCにてセサミンとエピサセミンに分離・精製し、それぞれについて同様に食餌性高脂血症における脂質代謝改善作用について検討を進めたところセサミン混合物の脂肪代謝改善作用はエピサセミンの有効作用が強く影響していると考えられた。またエピセサミンの脂質代謝改善作用はgemfibrozilの作用に類似した機構が考えられた。2)杜仲の場合、杜仲葉粉末ならびに杜仲葉エキス共にatherogenic β-VLDL上昇抑制に基づく血清コレステロール上昇抑制作用が認められた。更に肝臓コレステロール含量上昇抑制作用が認められ、肝臓病理組織切片において脂肪肝の抑制が観察された。杜仲にはセサミンと構造類似のリグナン化合物が多く含まれていることから、この有効作用にはリグナン化合物が関与している可能性が高い。そこで次にヒト肝臓癌由来培養細胞株HepG2系を用い、単離・精製したリグナン化合物をはじめとする食品由来化合物がコレステロール生合成律速酵素(HMG-CoA reductase)活性に及ぼす影響を検討した。その結果、リグナン化合物のHMG-CoA reductase活性阻害作用はさほど強いものではなく、他の脂質代謝改善作用機構があるものと考えられた。一方、ケルセチン配糖体やgeniposidic acidがHMG-CoA reductase活性阻害作用を有することが明らかになると共に、阻害活性と構造との関連性に関する知見を得ることができた。

  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Effect of Tochu-leaf powder on lipid metabolism in stroke-prone SHR (SHRSP) fed a high-fat and high-cholesterol diet." Jpn.Heart J.36(4). 512- (1995)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Effect of gemfibrozil on lipid metabolism in stroke-prone spontaneously hypertensive rat (SHRSP)." Jpn.Heart J.36(4). 513- (1995)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Hypolipidemic effect of gemfibrozil in stroke-prone spontaneously hypertensive rat(SHRSP) fed a high-fat and high-cholesterol diet" Jpn.Heart J.36(4). 514- (1995)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Sesame lignans modulate cholesterol metabolism in stroke-prone spontaneously hypertensive rat (SHRSP)" Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.22(Sup.1). 310-312 (1995)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Lipid-regulating action of gemfibrozil in stroke-prone spontaneously hypertensive rat (SHRSP)" Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.22(Sup.1). 313-315 (1995)

  • [文献書誌] 小川 博: "栄養によるアテローム性動脈硬化の予防-脂質代謝を中心として" 帝塚山学園人間環境科学研究所紀要・人間環境科学. 4. 45-54 (1995)

  • [文献書誌] 村上哲男: "脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットの血圧、脳血管病変および寿命におよぼすDHA強化ユ-グレナ(Euglena gracilis Z)の影響" 栄食誌. 48(3). 209-215 (1995)

  • [文献書誌] 村上哲男: "脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットの脂肪代謝におよぼすDHA強化ユ-グレナ(Euglena gracilis Z)の影響" 栄食誌. 48(4). 133-139 (1995)

  • [文献書誌] Sato,M..: "Low protein disats posttranscriptionally repress apolipoprotein B expression in rat liver" J.Nutr.Biochem.7. 381-385 (1996)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Effects of eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid on serum lipid metabolism in normocholesterolemic and hypercholesterolemic stroke-prone SHR (SHRSP)" Jpn.Heart J.37(4). 566- (1996)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Effect of buckwheat protein extract on lipid metabolism in stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP)" Jpn.Heart J.37(4). 567- (1996)

  • [文献書誌] 小川博: "田七人参粉末投与がSHRSP(脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット)の血圧ならびに脂質代謝に及ぼす影響." 栄食誌. 49(1)(in press). (1997)

  • [文献書誌] Ogawa,H.: "Taurine : Basic and Clinical Aspects (ed.Huxtable,R.et al.)" Plenum Publishing Corporation (New York), 107-115/658 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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