有機溶剤作業場の個人暴露濃度に対する環境濃度及び生物学的モニタリング測定値の関係

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670469
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 川崎医療福祉大学
• 研究代表者: 緒方 正名 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70032844)
• 研究分担者: 嶋田 義弘 中国短期大学, 生活学科, 助教授 (80196493) ; 藤井 俊子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70099638) ; 田口 豊郁 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教授 (30197248)
• キーワード: 有機溶剤 / 環境濃度 / 個人暴露濃度 / 生物学的モニタリング / 混合溶剤 / トルエン / 尿中代謝産物 / 尿中溶剤

研究概要

測定法の開発→トルエン作業場の調査→混合溶剤の暴露評価の順序で研究を行なった。
1。測定法の開発:単独及び混合溶剤作業場の気中濃度の低濃度化に対応出来る測定法として、溶剤を活性炭に吸着後、2-ヒドロキシピリヂンで150℃の液状で抽出し、20°で固体化する時に気中に放出される溶剤を測定する方法を開発し、従来の二硫化炭素抽出法の51倍の定量感度を得た。2。作業場で空気中の溶剤蒸気濃度と溶剤の尿中溶剤・溶剤代謝産物濃度の関係:両者の関係を明らかにする為に、(1)トルエン作業場のトルエン気中濃度の平均値,(2)作業者の近辺の位置で採集したトルエン気中濃度、(3)作業者の呼吸域のトルエン濃度、(4)尿中トルエン及び馬尿酸濃度、を測定した。これらの4測定値の内、一対の測定値間に良い相関が認められた。又、尿中トルエン及び馬尿酸濃度間にも密接な相関が認められた。そして、作業者が作業時間中にほぼ定位置に留まる場合には、作業者の近辺の溶剤の気中濃度は、作業者の個人暴露量の良い指標となる事が推定された。3。混合溶剤暴露の尿中代謝産物濃度よりの評価:評価の指標として、混合溶剤の成分濃度の間に代謝に関する相互作用の無いか、極めて少ない場合、生物学的危険指標即ち、(各溶剤の暴露時の代謝産物濃度-非暴露時の代謝産物濃度)/(生物学的暴露指標-指標設定の際の非暴露時の代謝産物濃度)の和を提案した。この値は、暴露に耐え得る指標として使用出来ることが認められた。そして、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンの混合溶剤に暴露した作業者の代謝速度が、単独溶剤暴露のそれと差異が殆どないことを認めた。それ故、混合溶剤の気中濃度の評価値である危険指標と生物学的危険指標は良い一致を示した。この事から、両指標を用いて空気中の溶剤蒸気濃度と溶剤の尿中代謝産物濃度の関係を求めることが可能になった。

研究成果

• [文献書誌] Masana Ogata: "Evaluation of exposure to solvents from their urinary excretions in workers coexposed to toluene, xylene and MIBK" Appl. Occup. Environ. Hygiene. 10(11). 913-920 (1995)
• [文献書誌] Masana Ogata: "Evaluation of exposure to mixed solvents by analyzing their metabolites and solvebts in urine" Kawasaki J. Med. Welfare. 1(1). 1-15 (1995)
• [文献書誌] Hiromi Michitsuji: "Relationship between the ambient concentration of toluene in the air of workplaces and the concentration of toluene or its metabolites in the urine of workers" Kawasaki J. Med. Welfare. 1(1). 89-95 (1995)
• [文献書誌] Hiromi Michitsuji: "Desorption of Organic Solvents from Activated Charcoal with 2-Hydroxypyridine" Kawasaki J. Med. Welfare. 1(1). 97-104 (1995)