研究概要 |
ほぼ研究計画通りに実施検討し,以下の結果が得られた。 1)関係者に対する聞き取り調査,既存資料の収集を三島村,十島村の各島別に実施した。離島歯科医療に占める巡回診療の果たす役割の大きさと限界が再認識された。しかし,当初予想された以上に資料の散逸がはげしく,欠落のあるデータとなった。 2)平成元年度から平成5年度までの国保レセプト,巡回診療実績報告により標準化受療比(SMoR)の算出を行った。巡回診療の標準化受療比は15歳を境に未満と以上に分けると15歳未満では年度による変動はあるもののSMoRは10前後と15歳以上の1前後に比べ高値で,1回乃至3回の巡回診療で全受療の20%〜50%を占めていた。 資料の整合性から,黒島を除き,医療確保の実現度を各島別に推計した。その結果,巡回診療の役割の大きさにより医療確保の実現度は各島間で最大1. 5倍の差しかみられなかった。 3)複数離島間でアクセシビリティの困難性が,巡回診療でどの程度改善されるかを検討するためにPotential Spatial Accessibilityモデルによるアクセシビリティの計量を距離と時間・コストから検討した。 島別の医療確保の実現度への当てはめでは、後者の適合がよいと考えられた。 平成2年度の諏訪之瀬島のPotential Spatial Accessibilityを1とした場合,平成2年度の最もAccessibilityの悪いのは悪石島で0. 99であり,竹島は3. 04であった。 今回のデータはPotential Demandは一定としたが,次年度実施する予定の住民に対する保健医療意向調査や医療供給側の調査から,それらをいれた計量評価モデルのパラメータ推定を行うことが今後の課題である。
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