研究概要 |
1.精神保健法施行後の変化に重点をおいた精神疾患に関わる統計資料の整備: 病院報告の平均在院日数についての年次推移の意味を明かにするために、厚生省の患者調査を用いて継続在院期間別の在院患者割合および継続在院期間別の退院率の推計を行った。1ヵ月間の退院患者数を1ヵ月間の在院患者延数で除した指標である総退院率は、平均在院日数の逆数とほぼ等しく、しかも患者の特性ごとの算出が容易である。そこで、平均在院日数に替えて、1974年〜1990年の総退院率に関する年次推移とその意味を明かにした。精神疾患の総退院率の年次推移は、最近上昇していた。これは、1ヵ月以下の在院患者割合はほとんど変化が見られない状態で、1ヵ月以下の退院率の最近の上昇が著しいためであった。また、精神疾患の性別および年齢階級別の総退院率の年次推移を示し、その意味を検討した。 さらに、1991〜1993年までの病院報告及び患者調査の目的外使用の申請を行い、最近の動向についての分析の準備を行った。 再入院の実態把握とその関連要因の検討について: 福岡県下の2つの保健所の協力を得て、医療保護入院・措置入院での退院後の再入院および受療中断の実態についての追跡調査を実施中である。すなわち、平成3年4月から平成5年9月までの精神病院退院患者343人を対象者として、保健所に保管されている医療保護入院届・退院届,定期病状報告,通院医療費公費負担申請書や各種社会資源の利用記録などの既存資料に基づき、保健所の協力により匿名性を保った状態で再入院・受療中断の有無とその時期についての調査を実施している。
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