運動負荷による活性酸素の生成と抗酸化的応答

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670477
• 研究機関: 大阪府立公衆衛生研究所
• 研究代表者: 赤阪 進 大阪府立公衆衛生研究所, 労働衛生部, 主任研究員 (10158719)
• 研究分担者: 白石 龍生 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00116162)
• キーワード: 活性酸素 / アスコルビン酸 / Mn-Superoxidedismutase / Cu / Zn Superoxidedismutase / 8-hydroxyguanine / 運動習慣 / 自転車エルゴメター / 60%HRreserve

研究概要

運動と、白血球DNA中の活性酸素による修飾塩基8-hydroxyguanine量との関係を明らかにするために、運動習慣・年齢の異なる4群のボランティア(1群6名)に自転車エルゴメーターで60%HRreserveの運動負荷をかけ、運動前後の抗酸化系および白血球DNAの8-ohdG量の変化を求めた。被験者の属性および日常の運動量:日常の歩行数と運動量は学生/運動群が有意に最も高く、学生/非運動群は中年/運動群に比べ、歩行数が少ないが、運動量はほぼ同じであった。運動負荷時、ク-ルダウン後の心拍数の減少速度は、同年齢間では運動群の方が速く、同習慣間では若い方が速かった。血漿中アスコルビン酸量の変化:学生/運動群のAsAが運動終了30分後に有意に増加しその後減少した。逆に学生/非運動群では酸化型AsAが120分後には増加する傾向が見られた。白血球スーパーオキサイドジスムターゼ活性の変化:4つの群共に運動前のCuZn-SODより運動後の活性が上昇しているように見えた。しかし、個人間の活性の違いが大きく、有意な差が見られたのは学生/非運動群だけであった。Mn-SODでは、運動負荷前後の差が見られなかった。学生について、運動負荷前のCuZn-SOD活性と日常の運動量とは有意な正の相関が見られた(r=0.698、P<1%)。白血球DNA中8-ohdG量の変化:観察期間を通じて、また群間で特に大きな差は見られなかった。VO2maxに達する運動負荷をした2列(中年)では、共に運動直後に8-ohdGが増加しその後減少することが観察された。
以上のことは、日常の運動が活性酸素防御機構を高めていることを示していると考えられる。また、有酸素運動程度ではDNAに損傷を与えるほどの酸素ストレスはかからないのではないかと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Nakano, T.,.., S. Akasaka and T. Ohnishi: "Mutations of shuttle vector plasmid, pZ189, in Escherichia coli induced by boron neutron captued beam(BNCB)containing α-particles." Mutation Res.336. 153-159 (1995)
• [文献書誌] Akasaka, S. and K. Yamamoto: "活性酸素による突然変異のスペクトル" 環境変異原研究. 16. 409-415 (1995)
• [文献書誌] Akasaka, S. and K. Yamamoto: "Mutational specificity of the ferrous ion in a supF gene of Escherichia coli." Biochem. Biophys. Res. Commun.,. 213. 74-80 (1995)
• [文献書誌] 後和美朝,..,白石龍生,.: "肥満傾向判定のための身長・体重パーセンタイル曲線" Auxology. 2. 38-40 (1995)
• [文献書誌] 白石龍生 他: "初潮年齢と最大発育年齢との関連" 大阪教育大学紀要. 44. 97-102 (1995)
• [文献書誌] Miyai, N. and T. Shiraishi: "Evaluation of aerobic power using PWC60%HRreserve" Mern. Osaka Kyoiku Univ. Ser III. 44(in press). (1995)