現在までに、数十種類のシソ科植物(とくにハ-ブ類)の抗HIV作用を検討した。その操作法は、試料を乾燥し粉砕後、アセトン、エタノール、70%エタノール、水の順で抽出し(水では加熱抽出)、各抽出物を減圧乾燥もしくは凍結乾燥し、MT-4細胞におけるHIVの増殖抑制効果を検討した。その結果、およそ7割ものシソ科植物に抗HIV活性が認められた。さらに、その活性は水抽出物に強く認められることから、活性成分は比較的極性の高いものであるものと推察された。これらのうち、抗HIV作用を顕著に示した植物はカゴソウ(夏枯草)、アオジソ、バジルシナモン、レモンバーム等であり、いずれも16μg/ml以下の濃度で強い活性が認められた。 これらの活性成分の検索法として、シソ科植物の水抽出物を逆相系のオープンカラムで水-メタノールの溶媒系で分画し、次いでゲルろ過する手法で精製中である。 さらに、比較的強い活性の認められたシソ科植物の抽出物について、その作用機序を検討した。各抽出物は、HIVによる巨細胞形成を強く抑制した。このことから、主な作用機序としては、HIVが免疫細胞に結合するのを阻害するものと考えられた。また、HIVの逆転写酵素活性をわずかながら抑制した。さらに、HIVの実験株だけでなく、HIV患者から分離した新鮮分離株の増殖も抑制した。 このように、in vitroではあるが、多くのハ-ブ類に強い抗HIV作用を有することが認められたことから、さらに、臨床への可能性を検討する必要がなるものと思われる。
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