研究概要 |
1.AB型ヒト胃粘膜をペプシン消化した後,フェノール抽出法によって型的活性画分を抽出して原材料とした. 2.A型とB型の型的活性免疫吸着体カラムによるアフィニティクロマトグラフィーで精製した抗A,抗B抗体を,それぞれヒドラジド活性化アガロースビーズに結合・不溶化して抗Aと抗Bの型的抗体活性免疫吸着体を調製した. 3.以上を用意した後,(1)原材料について抗A活性免疫吸着体カラムによるアフィニティクロマトグラフィーを行い,解離溶出画分は型的凝集反応抑制試験に於いてAとBの両血液型活性を示した.(2)この解離溶出画分について抗B活性免疫吸着体カラムによるアフィニティクロマトグラフィーを行い,ここで得た解離溶出画分について同様に抑制試験を行ったところ,これもAとBの両血液型活性を示し,互いにほぼ等しい型活性価であった.これらの成績は,AB型ヒト胃粘膜に存在する型物質にAとBの両血液型活性を併せ持つ分子のあることを示唆する. 4.一方,原試料について,分子量つまり分子の大きさと型的活性の存否との関係を,ゲル濾過法によって検討したところ,30万を越える分子量の画分に集中して強い型活性があるという成績を得た.この成績からすると,ペプシン消化によってはなお切断されない長いペプチド鎖上にAとBとの型的活性部分が,それぞれ独立して存在する可能性も否定し得ない. 5.そこで,現在,原試料をプロナーゼで処理してペプチド鎖を極力短く切断したものについて,さきと同様の検査を実施していることろであり,次いで,エンドグリコペプチダーゼによって糖鎖のみを分離精製して,さらに検討を進めることとする.
|