研究概要 |
[方法] 死後24時間以内に行政解剖された心臓性突然死症例から血液10mlと心臓とを採取した.血液を-80℃で冷結保存,心臓については大動脈起始部と心尖部とを結ぶ線の中点においてこれを水平に輪切りにし,さらに1cm間隔で心尖部へ向け2回輪切りにした3スライスを10%ホルマリンにて固定した. 凍結保存した血液を解凍し,よう化ナトリウム法によりDNAを抽出した.抽出されたDNAから肥大型心筋症に関連するβ-Myosin Heavy Chain GeneのExon13の特定塩基配列をPCR法により増幅した.増幅産物をDdaI分解し,ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い,エチジウム・ブロマイドにて染色後,UVランプ下で検出されたバンドから同遺伝子の403 Alg→Gln point mutationの有無を検索した.心臓については,最初のスライスからは左心室および右心室側壁の水平断の組織小片を,2番目のスライスからは左心室および右心室側壁の縦断面の組織小片を切り出し,HE,アザン染色を行った. [結果] 症例1(59歳男),心臓重量920g,左心室壁3cm,心筋は線維化を呈し粗造. 症例2(56歳男),心臓重量590g,左心室壁2.5-3cm,心筋は広範囲に白色線維化. 症例3(63歳男),心臓重量700g,左・右心室壁肥厚著明,心筋は広範囲に線維化. 症例4(48歳男),心臓重量530g,左心室壁2.5-3cm,心筋は混濁. 症例6(27歳男),心臓重量450g,左心室壁2.5-3cm,心筋は線維化. 症例7(65歳男)心臓重量920g,左心室壁3cm. 症例8(25歳男)心臓重量680g,左心室壁肥厚. 症例9(48歳男)心臓重量400g,左心室壁2cm,繊維化. DNA解析では以上の症例において,PAG電気泳動にて100bpと161bpの2本のバンドを検出し,129bpのバンドを検出しなかった. 心臓の病理組織学的検査では,心筋繊維の錯綜配列(異常分岐,交錯,渦巻),chromatinに富んだ核や筋形質の形態異常,繊維化を認めた.
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