研究課題/領域番号 |
07670508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 広一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60171211)
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研究分担者 |
田村 明敬 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50207239)
宮崎 時子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60084919)
伊東 重徳 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90104281)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 組換えホットスポット / 遺伝子変換 / 凝固第13因子aサブユニット / ABO式血液型 / ABO blood group |
研究概要 |
我々は、ヒト凝固第13因子Aサブユニットにみられる変異型の遺伝子解析を行う過程で、コーディング領域に新しい多型サイトをいくつか同定した。興味あることは、これらの多型サイトによって構成されるハプロタイプに当然予想されるはずの連鎖不平衡がみられなかった。このことは逆に、この遺伝子領域で頻繁に組換えが起こっており、すでに存在するハプロタイプ間で一部の領域の交換が行われていることを示唆している。そこで、未解析の非コード領域の塩基配列の解析を行い、組換えに関わる特定の配列を明らかにすることを目的として研究を開始した。その過程で、本研究課題に関する平成7年度研究実績報告書に記載したように、課題研究対象領域とは異なるABO式血液型遺伝子領域において遺伝子的組換え例と考えられる事例を発見した。このような例は、発見から1世紀近くになろうとするABO式血液型の研究の歴史においてまったくはじめての例であり、研究成果発表の緊急性に鑑み、研究の中心をABOの方にシフトさせた。 我々が初めて見いだしたABOの組換え例は、解析の結果、イントロン6-エクソン7の接合領域周辺の数百塩基対の領域内でのde novoの組換えによって生じたことがわかった。この発見をもとに、このような組換え体が一般集団中にも存在しているかどうかを、日本人、シベリア在住蒙古系少数民族、ドイツ人の各集団を対象にスクリーニングしたところ、日本人でさらに4例、蒙古系少数民族に1例の組換え体を見いだした。ドイツ人集団にはみられなかった。これらの組換え体について、ABO遺伝子領域のうち、解析されていなかった各イントロンの配列をシークエンスした結果、1例については遺伝子変換の結果であることを明らかにした。 ABO遺伝子領域にこのようなダイナミックな遺伝現象が生じていることを明らかにしたのは本研究が初めてであり、現在、上記以外の民族集団のスクリーニング、ABO遺伝子上下流域の多型サイトの解析等を進めているところである。
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