研究概要 |
我々が初期に樹立したCBA-lpr^<cg>自己免疫マウスをFMマウスに哺乳させることにより,CBA-lpr^<cg>(FM)を作成してその検討を行ったが,Vβ8.2細胞は対照マウスの6〜7分の一に減少しており,Vβ8.3細胞は変化ないことから,Vβ8.2細胞が選択的に減少した系統であることを確認した.Vβ8.2の欠損が自己免疫に与える影響を検討するのに,最近我々が樹立して自己免疫が高度であるMRL-lpr^<cg>マウスをFMマウスに哺乳させることにより,MRL-lpr^<cg>(FM)を作成してその検討を開始した.無処置MRL-lpr^<cg>では表在性リンパ節,深在性リンパ節,腸間膜リンパ節重量がそれぞれ1,935±242mg,1,071±182mg,1,482±307mgであったのに対して,MRL-lpr^<cg>(FM)では1,376±266mg,697±187mg,1,065±271mgと全般的に縮小していた.ただしこれと対照的に,脾臓重量は無処理MRL-lpr^<cg>では540±62mgであったが,MRL-lpr^<cg>(FM)では852±220mgと増大していた. 自己免疫の指標として種々のものがあるが,抗核抗体や抗DNA抗体などの血清抗体の測定は後程まとめて行うとして,免疫複合体型糸球体腎炎の指標として尿蛋白を測定した.方法はテステープを用い,半定量的にスコアー化した.無処置MRL-lpr^<cg>では2.50±0.35であったの対して,MRL-lpr^<cg>(FM)では1.56±0.30と減少していた.今後,組織のHE染色,電顕的検索あるいは免疫蛍光染色で補体成分やIgGの沈着を検討することで,免疫複合体型糸球体腎炎が真に軽減しているかについての結論が得られる.
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