研究概要 |
RA,PSS,SLEの遺伝要因としてのTAP遺伝子の意義を検討した。又、DR等既知の遺伝要因とTAP遺伝子の関連を検討するとともに遺伝要因と自己抗体を含む臨床所見との関連を検討した。RA92名、PSS55名、SLE52名を対象とし、対照として正常人95名を用いた。HLAは血清学的、及びDNN typingで検討した。TAP遺伝子は、Sau3AI、AccI等の制限酵素を用いたPCR-RFLP法で検討した。TAPとDRとの相関では、TAP1BとDR9、TAP2AとDR15、TAP2AとDRB1*1502、TAP2BとDR8、TAP2EとDR9の有意な相関を認めた。RAではTAP2B、2Cの増加がみられたが、有意ではなかった。RAではTAP2Eが有意に減少していた。相関からは、TAP2B、2Cの増加はDRB1*0405の増加に伴う二次的なものと考えられたが、TAP2EはDRB1*0405との相関はなかった。この事からTAP2EがRAにprotectiveに働 gereのマーカーとして働いている可能性も考えらえた。さらにTAP2Bと抗SS-A抗体との有意な相関を認めた。Diffuse Scleroderma(DS)、a-Scl-70群ではTAP1A、2Aの有意な増加がみられた。又、TAP1Bは有意に減少し、TAP2BもDSで有意に減少していた。TAPとDRとの相関からは、DS、a-Scl-70群でのTAP1A、2Aの増加はDRB1*1502の増加に伴う二次的なものと考えられた。TAPと肺繊維症を含めた臨床所見との関連では有為な相関を認めなかった。SLEでは、いずれのTAP alleleも差がなくTAP2Hが増加傾向を示した。SLEの自己抗体の有無とTAP alleleの関連では、RNP群でTAP2Hが増加傾向を示したが有意ではなく、SLEではTAPと自己抗体の関連はないと考えられる。又、オッス比の検討からは日本人でTAPがこれらの自己免疫疾患に相加(相乗)的に関与している可能性は低いと考えらえる。SLEの一例にTAP2の新しいRsaIパターンを示すalleleがみつかった。DNA配列から、ATATA→ATGTAと48723位の塩基置換が認められ、TAP2JTと名付けた。
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