♯1 一方が強直性脊椎炎を発症した一卵性双生児由来のリンパ芽球細胞株を無血清培地にて大量培養し、それぞれ5×10^9個の細胞を得、特異的モノクローナル抗体を用いてHLA-B27抗原をアフィニティ精製した後、酸性条件下にて結合した抗原ペプチドを解離せしめ、濃縮後質量分析器を用いて分子量、アミノ酸配列を分析した。いずれの細胞株からも9種のペプチドが検出され、両者に差を認めなかった。うち分子量1039のペプチドではアミノ酸配列がGRIDKPILKであることが決定された。強直性脊椎炎患者29例よりプールした抹消血白血球を用いて同様の方法でHLA-B27結合ペプチドの同定を試みたものの、解析に十分な量のペプチドは得られなかった。 ♯2 全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中の可溶性HLA-class I抗原(sHLA-class I)濃度の上昇および、疾患活動性との有意な相関を見いだした。また、RT-PCR法およびWestern blot法により、sHLA-class Iが主として蛋白分解酵素による切断および選択的スプライシングの機序により産生されると考えられることを示した。 ♯3 HLA-B遺伝子座の近傍に位置し、HLA-class I類似の分子構造を有すると考えられる近年報告された遺伝子であるMICAの強直性脊椎炎患者における多型性を検討した。HLA-B^*2704陽性患者では全例にMICA010が、HLA-B^*2705陽性患者では全例にMICA007が存在し、B27のsubtype間でMICAとの関連が異なることを見いだした。
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