研究概要 |
火力発電動力燃料として利用される化石燃料に含まれる酸化バナジウムは、過酸化水素存在下にて、ヒト好塩基球、ラット粘膜型肥満細胞、腹腔内結合織型肥満細胞の活性化に、著名な効果を持っていることがわかった。バナジウムは、用量依存的時間依存的に、ヒト好塩基球とラット粘膜型肥満細胞(RBL-2H3),ラット腹腔内結合織型肥満細胞より、有意にヒスタミンを遊離した。またこの活性化に伴う情報伝達機構については、IgE介在性におけるそれとの類似と相違について、その反応時間,カルシウム依存性、リン酸化、細胞内カルシウム上昇の影響について検討した。過酸化水素存在下、ラジカル産生のもとで、IgE介在性と同様なシグナルで活性化されると推定された。すなわち、酸化バナジウムは、炎症性アレルギーの発症において、きわめて顕著な重要性を持つことがわかった。 Sodium vanadateが、肥満細胞からヒスタミンを遊離しないという報告(J Biol Chem1993,268:22716)もあり、結果の相違の原因も含めて我々の研究結果の発表準備中である。また、そのため、これからもin-vitroの実験は、それ自体として興味のあるものであり、本申請の計画を続行していくが、疫学、公衆衛生、労働衛生の見地からも早急に、酸化バナジウムの再評価をしなくてはいけないと考えている。現代社会におけるアレルギー患者の増加の一因として、考えていかなければいけない。
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