研究概要 |
酸化バナジウムは、ヒト好塩基球、ラット粘膜型肥満細胞、腹腔内結合識型肥満細胞の活性化に、著明な効果を持っていることがわかった。この活性化に伴う情報伝達機構におけるIgE介在性におけるそれとの類似と相違について、その反応速度,カルシウム依存性、薬理学的実験、脱感作実験を行った。(1)薬理学的な研究FK506はIC_<50>の1ng/mlでもって、V_2O_5/H_2O_2とNa_3VO_4/H_2O_2によるヒトのbasophilとRBL-2H3細胞からのヒスタミン遊離を抑制した。Wortmanninは20nMでV_2O_5/H_2O_2による遊離に影響を及ぼさなかったが、1μMで52%ほど、遊離を抑制した。一方、wortmanninは、20nMで50%ほどIgE-介達性ヒスタミン遊離を抑制した。(2)IgE介達性による活性化とバナジウムでの活性化の細胞内機序を比較検討するために、homologousな、そしてheterologousな脱感作実験を行なった。ヒト好塩基球が15分間Pipes Aでanti-IgE処理され、脱感作されたのち、同等量のCa^<2+>(2mM)の補充と共にvanadium/H_2O_2で再刺激させられた。anti-IgEはこれらの細胞からヒスタミン遊離しなかったが、vanadium/H_2O_2は、IgE脱感作された好塩基球からヒスタミンを遊離した。逆に、anti-IgEは、バナジウムで処理された好塩基球からのヒスタミン遊離を引き起こした。それゆえに、この2つの刺激の間には、heterologousな脱感作は存在しなかった。結論バナジウムは、IgEレセプター等初期シグナルをバイパスし、後期シグナルを、H_2O_2と協同して活性することが分かった。
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