研究課題/領域番号 |
07670527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木谷 誠一 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (10231284)
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研究分担者 |
村上 敦子 東京大学, 医学部・付属病院, 医員
木原 英利 東京大学, 医学部・付属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | バナジウム / アレルギー / 環境 / 肥満細胞 |
研究概要 |
バナジウムは、石炭、石油、オイルサンド等の化石燃料に普く含有されており、それらの燃焼に伴って大気中に放出され、降雨と共に海水に沈下する。我々は、現今のアレルギーの罹患率(incidence)の増加の一因として、バナジウムのアレルギー炎症作用に基づくと考え、I型アレルギー発症の要である肥満細胞に対する影響を検討した。 バナジウムの主な化合物である酸化バナジウムvanadium oxide(V_2O_5)とorthovanadate(Na_3VO_4)は、ヒト末梢血好塩基球細胞、ラット腹腔内肥満細胞、ラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)から、過酸化水素(H_2O_2)存在下にて、有意にかつ濃度依存性に、ヒスタミンを遊離した。このバナジウム過酸化水素混合条件によるRBL-2H3細胞の活性化は、ロイコトリエン、細胞内カルシウムへの流入と増加、チロシンリン酸化、著明な形態の変化を伴っていた。また、FK506とwortmanninを使用した薬理的検討を行った所、初期情報伝達過程をバイパスし、後期過程を活性していることが認められた。これは、脱感作実験(desensitization)とヒトIgE不応性好塩基球細胞(non-releasing basophils)を使った実験にても,確かめられた。アレルギー性炎症局所でのラジカルの関与についても、過酸化水素のヒスタミン遊離制御作用についての検討も加え、IgEを介さないバナジウムのアレルギー作用についての研究成果を報告した。 我々の結果は、工業化社会における地球レベルでの環境汚染についてアレルギーの側面から警告を発するものであり、法規制や経済政策の選択に指針を与えるものと考える。
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