研究概要 |
これまでの我々の得られたPax-5遺伝子の機能についての知見を確認し、更にin vivoでのB細胞の機能、特に抗体産生と、細胞増殖についての役割をさぐるため、1、分化段階の異なるB細胞株に、BSAPを強制発現させ、および、B細胞の後期・終末分化において、その生理的発現停止が起きない、2、トランスジェニックマウスを作成した。 1、BSAPの強制発現細胞株 (1)発現プラスミドを作成し、後期B細胞である、CH12.LX,形質細胞腫である、MPC11を用いて、形質転換株を得た。ウェウスタンブロット、ゲルシフトアッセイ等により、目的とする、BSAPをin vivoで発現していることを確認した。 (2)予想どおり、BSAP発現株は、対照株にくらべて、細胞の増殖を亢進し、抗体の産生を抑制したが、この効果は、形質細胞株よりも、後期B細胞株により、著明に認められた。 (3)形質細胞は生理的には、BSAPを発現しないが、heterologous promotorを用いた我々の実験では、BSAP発現に対し、permissiveであった。 (4)BSAPを発現することにより、終末分化に伴う形質の変化、即ち抗体産生能の獲得、Syndecan-1、Blimp-1の発現、細胞質内Igの産生増加、何れも抑制された。 2、BSAPトランスジェニックマウスの作成 本年度内に、BSAPを発現する、マウスを二系統作成し、そのコロニーを増やし、ヘテロのマウスを得ることができた。現在詳細にマウスのphenotypeを解析中である。
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