研究概要 |
本年度の研究計画に基づき、シェ-グレン症候群患者よりlip biopsyにより小唾液腺を採取し、PHA活性化ヒト臍帯血単核球とともに培養を行ない、逆転写酵素活性を測定した。すなわち、培養3日および7日の上清を超遠心(12000rpm×2h)し、ペレットをNPで処理しテンプレートを含む反応疫(dXTP, Mg^<2+>)を加え、37℃1h反応させ、合成された核酸量を、取り込まれた^3H-tyhmidineの量で測定した。これまで検索した限りにおいては、、培養上清中の逆転写酵素活性は検出されていない。従って、現段階では、シェ-グレン症候群唾液腺におけるレトロウィルスのreplicationの存在は否定的である。しかしながら、逆転写酵素をコードするpol遺伝子をもたない不完全ウイルスの形で唾液腺の宿主DNAに組み込まれている可能性をも考える必要があり、他の方法により、すなわち、レトロウイルス抗原の一部が局所浸潤T細胞を感作しているか否かを検討する方法により、レトロウイルスの病因への関与を調べるっことを考案した。そこで、病変部組織局所に浸潤したT細胞の、レトロウイルス抗原に対する反応性を検索するための前段階として、シェ-グレン症候群患者より採取した小唾液腺より、抗T細胞抗体とIL2を用いてT細胞を分離し、多数のT細胞クローンを得ることができた。また、それぞれの自己の(autologous)末梢血単核球よりT細胞をナイロンウ-ルカラムにより分離し、これにHTLV-1持続感染細胞株MJ由来HTLV-1ウイルスを混合培養により感染させ、それぞれの、レトロウイルス感染autologous T細胞を作製した。これらを用いることになる次年度の研究計画であるレトロウイルスに対する細胞性免疫応答の検索につないで行く方針である。
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