研究概要 |
本研究は、自己免疫疾患のプロトタイプの一つであるシェ-グレン症候群におけるレトロウイルスの病因論的関与の有無について、T細胞とりわけウイルス特異的T細胞免疫応答の観点から追求し、自己免疫の成因のメカニズムを明らかにしようとするものである。 1 シェ-グレン症候群患者および対照者から採取した小唾液腺より、IL2を用いて局所浸潤T細胞を分離増殖させ、既知のレトロウイルスであるHIV-1ならびにHTLV-1抗原で患者末梢血単核球を感作し、それに対するautologousの唾液腺浸潤T細胞の反応性を測定した。現在のところ有意な反応性は観察されていないが、さらに測定を進めている。 2 シェ-グレン症候群患者および対照者より小唾液腺を採取し、レトロウイルスの存在を検出するため、PHA刺激ヒト単核球とともに混合培養し、(1)小唾液腺培養上清中のウイルス粒子内の逆転写酵素活性(RT)を検索。上清をPBSで希釈し、15000rpm,4℃,1h遠心後、ペレットをRT測定用バッファーに溶解し活性を測定。(2)培養細胞内のRT活性を調べるため、細胞ペレットにRT測定用バッファーを加えて溶解し、遠心後、上清中の活性を測定した。またさらに、念のため、遠心後のペレットも再溶解してRT活性を調べた。測定系そのものは鋭敏であると考えられたが、シェ-グレン症候群患者の小唾液腺培養系に有意に高値のRT活性は認められなかった。しかし、一部、negative controlの3倍以上の活性を示した検体があり、現在、これをさらに培養して多量の上清を採り濃縮して再測定する予定である。また、一方、ELISAによるRT測定法を開発、現在、測定を急いでいる。
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