自己免疫疾患T細胞のインテグリン接着分子シグナル伝達異常に関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670539
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 埼玉医科大学
• 研究代表者: 竹内 勤 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50179610)
• 研究分担者: 森 茂久 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10190993)
• キーワード: チロシンリン酸化 / インテグリン / シグナル伝達 / p125FAK

研究概要

インテグリンを介したシグナル伝達に着目して、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ(RA)の末梢血および滑膜において解析を行った。SLE末梢血T細胞には、活動期β2インテグリンの発現増強が観察された。さらに、血管炎を合併したものでは、α1インテグリンの発現増強が加わっていた。血管炎合併患者においては、T細胞にpp125FAKが強く発現していた。免疫ブロット法によってその蛋白レベルでのシグナルを観察すると、SLE血管炎合併例では、正常人の数倍にも蛋白量が増加していることが判明した。
一方、RA滑膜においても、コントロールのOAに比してインテグリンおよびインテグリンリガンドが強く発現されていた。これらの接着分子が病態形成に深く関わっていると考えられるが、そこでのpp125FAKの発現を検討した。RAでは、血管周囲から表層下にかけて、非常に強いpp125FAKの発現が観察された。抗チロシンリン酸化抗体との二重染色で、pp125FAKに強いチロシンリン酸化が起こっていることも明かとなった。さらに、そのつよいチロシンリン酸化FAKの局在を、共焦点レーザー光学系を装着したACAS570によって解析したところ、そのシグナルは、B型繊維芽細胞様滑膜細胞と、A型マクロファージ様滑膜細胞に見られた。しかもそのシグナルは、予想に反して、A型細胞に数倍強いことが明かとなった。

研究成果

• [文献書誌] T.Takeuchi,et al.: "Enhanced expression of pp125FAK in peripheral T cells in patients with systemic lupus erythematosus." Arthritis Rheum. 37. S377 (1994)
• [文献書誌] T.Takeuchi,et al.: "Systemic lupus erythematosus with necrotiging vasculitis and upregulated expression of VLA-4 antigen" Clin Rheum. 14. 370-374 (1995)
• [文献書誌] T.Takeuchi,et al.: "Clinical manifestations and prognosis of Wegener's granulomatosis." Internal Medicine. 34. 705-706 (1995)
• [文献書誌] H.Nakajima,et al.: "Monocytosis and high serum macrophage cdony-stimulating factor in Waldenstrom's macroglobulinemia." Blood. 86. 2863-2864 (1995)
• [文献書誌] K.Xu,et al.: "Biopsy of labial salivary glands and lacrimal glands in the diagnesis of Sjogren's syndrame." J.Rheum in press. (1996)
• [文献書誌] T.Takeuchi,et al.: "Characterization of tyrosine phosphorylation of proteins in in vitro cultured synovial cells from RA." Arthritis Rheum. 38. S214 (1995)
• [文献書誌] 竹内 勤: "免疫疾患-stute of ants" 今西 二郎,淀井 淳司,湊 長博,山本 一彦 編, 467 (1995)
• [文献書誌] 竹内 勤: "抗炎症ハンドブック" 阿部 逹,柏崎 禎夫、斉藤 輝信 編, 227 (1995)